FFXII感想

元旦からプレイを開始して本日クリアしました。
合計46時間。
起きたらFFXIIをつけて眠くなるまでやって寝る生活を
4日繰り返しました。

エンディングムービーや一部のムービーは見たことあったので
だいたいこんな話なんだろうなというのは事前知識としてあったので、
多分、亡国の姫がなんか奔走する話なんだろうなと思っていました。
実際にプレイしてみたところ、亡国の姫がなんか奔走する話でした。

まずストーリーについてですが、未プレイの時点ですでに
亡国の姫が作品のテーマになっていることからストーリー展開が
(脚本家からの立場として)難しいだろうなと思っていました。
ストーリーのテーマというのは基本的にわかりやすいもののほうが好まれます。
肉の付け方に上手い下手はもちろんありますが、
世界の脅威と戦うとか、悪い奴を倒すとか、
失った物を取り戻すとか。
しかしテーマを亡国の姫にしてしまったがために、
そういった単純明快な作品の骨が作れなくなっていたように思います。

帝国を完全な悪とすればよかったのでしょうか。
しかし同じ人間が行う、謂わば政治的な行為であれば
もちろん攻める側にもメリットや理由があるわけで、
一概に悪と断罪することはできません。
戦争で負けたら支配されるのは人の世で当然のことでもあるし。

アーシェが再び王としての立場を取り戻すことが
目標だったらよかったのでしょうか。
しかしアーシェは姫であり、支配者として己の治めるべき民や軍を組織したい、という欲求は
自然な考え方ではあまりないように思われます。
主人公がもともと王であり、王として君臨して為すべきことがある、
人の上に立つ者として才と覚悟があることが描写されている
ルルーシュのようなタイプならよかったのですが、
アーシェは姫であって王ではありませんでした。
実際に最初アーシェが持っていた強い行動原理は
自分の身の回りの人を殺し国を奪った帝国に復讐してやるという
およそ人の頂点に立つ器ではないものでしたし
復讐をやめようと考えてからは、ラーサーの「戦争を止めたい」という
誘いに協力しただけでその考えはアーシェ自身から出たものでは
ありませんでした。
むしろ復讐に駆られるヴァンの表情を見て、
復讐の醜さに気づいたからやめたというだけで
そこから具体的にどうしたいかという彼女の意思がさっぱりわかりませんでした。

復讐をやめて、人間的に成長する話にするならいいんです。
復讐なんて馬鹿なことはもうやめよう。そう思って、
例えばやられたからやりかえすという連鎖を自分が止めるために
反乱軍(解放軍)を解散するとか、普通のひとりの女性として生きようとか、
次のステップはいろいろあったはずなんです。
しかしFF12ではラーサーに協力し戦争を止めて、そのあとまた統治者に戻ってる。
このエンディングについては詳しく語られていないのではっきりしないのですが
戦争を止めたからと言ってダルマスカは独立したわけではないはず。
ダルマスカは帝国領でアーシェはラバナスタの首長になったということなのでしょうか。
経緯は不明ですが、帝国で最高権力を持っているのはラーサーなので
ダルマスカ地方の反帝国感情を緩和させるための人事としか受け取れません。
しかもラーサーが皇帝となったとはいえあんだけ憎んでいた帝国に指示されて
首長になれって言われてはいやりますって言うのは今までのアーシェの行動を見てきて
理解ができないです。
ここにきてアーシェは統治者に戻りたかったのか?という新たな(余計な)
疑問が生まれてきてしまいました。
アーシェは帝国の支配者層の一員として平和を維持したい、ということを前から考えていたなら
わかるのですがそんなことしたいと考えてた気配は微塵もなかったし
結局終始周りの状況に振り回されて適当に動いてきた感しかないです。

物語の骨となるテーマが欠落しているせいで、こういう話になってしまっています。
FF12とは、誰が何をする話なのか?それが全く見えてきません。
ゲームのプレイ中に起きたことも、戦略兵器である破魔石を追って世界を奔走したわけですが、
簡単にまとめると

ダルマスカ敗戦→ヴァンが破魔石を手に入れる
→破魔石が帝国に取られる→もうひとつの破魔石を遺跡に取りに行く
→破魔石が帝国に取られる→破魔石を切る剣を遺跡に取りに行く
→新たな破魔石を取りに神の遺跡に行く→やっぱいらねえって破魔石を壊す
→最終決戦

破魔石を取りに遺跡に行ってはその苦労は水の泡になる、を3回繰り返しただけです。

ではどのようにすればよかったのでしょうか。
自分が今すぐ考えつく限りでは…

①話の中心をアーシェにしない
まず亡国の姫が世界を奔走というテーマが全ての元凶なので、
主人公をアーシェにしないようにします。
FF12の主人公はヴァンとかバルフレアとかいろいろ言われていますが、
登場人物たちはアーシェの後をついてきているか、
雇われているか巻き込まれているかという理由なので
今回の場合アーシェが主人公じゃないと言い張るのは難しいと思います。
思い切ってバルフレアに同行する、あるいは利用される亡国の王女であれば
話のテーマをバルフレア中心にすることができ、
自分の父やかつての因縁との決別といった、過去と向き合い、新たな仲間もでき、
成長していく話にできたと思います。
本来であればどこの国がどこと戦争してようが関係ない立場である空賊が、
偶然亡国の姫と出会ってしまい、最初は金のために足になっていたに過ぎないバルフレア
徐々にアーシェと親しくなって、アーシェを復讐から解放したいと思う中、
自分の肉親もまた戦争の原因であったという展開にすれば話の展開がだいぶ楽になるし、
何より作品のテーマが
「政治なんて興味がなかった空賊が亡国の姫と出会って変わっていく物語」になります。

②アーシェの復讐心を設定から消す
周りの人も国も奪われたけど、戦争に負けたからしかたない、という
諦めをはじめから持っていたり、自分を納得させている女性だったら、
物語の間に「自分はどうしたいんだろう?復讐がしたいのかな?
地位を取り戻したいのかな?戦争を止めたいのかな?」と悩んでもらうことができます。
FF12本編のアーシェは最初から帝国に対してぶちギレており、
「帝国を、ぶっ壊す!(NHKをぶっ壊すのイントネーションで)」をスローガンにしてるような
キャラクターで迷いがありませんでした。多分それがいけなかったように思います。
それとこれはFFシリーズ全体に言えることなのですが
キャラクターが大きく傷ついたり過酷な経験をすることが避けられているように思います。
子供が安心してプレイできるようにという配慮なのでしょうけれど、
それなら「亡国の姫」というテーマでやろうとすることが悪手という元も子もない
話になってしまいます…
道中賊に捕まって、奴隷としてオークションで売られたり、
あるいは危険なモンスターに殺されかけたりしないと
「立場を失った」という描写が乏しすぎると思います。
失った物がこんなにある、今はこんなに悲惨なんだという描写がなく
周りには忠実な騎士や仲良くしてくれるヴァンたちもいるし
なんか今の生活も悪くなくね?楽しそうじゃんみたいな雰囲気があるのが
いけないと思います。
自分は本当は何がしたいんだろう?なんのために世界を奔走してるんだろう?
危険なこともたくさん経験した。寝るところもないし明日死ぬかもわからない。
爪はボロボロだし食事もモルボルの触手かじってるだけだし、もうやめたい。
そう考えている時についに見えはじめた一抹の自分の使命や、守りたいもの。
最後は「人が安心して眠るためには-!」といいつつターンAガンダム(シュトラール)に乗り込む。
そしてエンディングでは、孤児だったヴァンやパンネロが暖かい家で安心して眠りにつく。
アーシェは気づいたのです。自分は王女でありたかったんじゃない。
人が安心して眠れる世界を望んでいたのだと。そういうのでもいいんじゃないですか。
アーシェの優しさや慈悲深さ、聖女ぶりを前面に出したキャラ設定にしておけば、
実際にでてきた「わたしは聖女なんかじゃない!」という台詞も
うまく捌けそうです。
本編のアーシェが言った「わたしは聖女なんかじゃない!」はなんだか
彼女をふざけて「お母さん」って呼んだら
「私はあんたのお母さんじゃない!!」って怒られてるみたいな
そういうキレ方なんですよね。
復讐に燃えてたから「聖女」であったことなんて一度もないわけだし、
それをずっと見てたプレーヤーとしては「いやまぁそうやろなぁ」としか反応できねえわけで。
唐突に「聖女になるのだ~!」なんてノリノリで言い出したオキューリアに対して
「こいつ神なのに空気読めない奴だな」と自分は思いました。

ゲームとしてよかったところ
ストーリーは、戦艦リヴァイアサンが轟沈するまではおもしろかったです。
ほかには…序盤のバルフレアがいいキャラでした。後半空気だけど。
正直それくらいしかないかもしれねぇ。

ガンビットは、キャラが棒立ちになって見た感じアホっぽく見えないように
開発された発展途上(FF13ではかなりよくまとまってる)のアイディアでしたが
いちいち操作しなくて済むのはよかったです。
ただ条件文が少なすぎて、
味方がリフレクされると敵を無限にケアルラで回復してしまったり
リフレクがついてる敵にサンダガ乱射して味方を開幕即死させたりと
リフレクとガンビットシステムの相性が最悪だなと思いました。
条件がふたつ設定できれば
「敵がリフレクでない場合」「敵が2人以上の場合」→「サンダガ」
みたいにできてよかったと思います。
そうなると設定がめんどいけど。
あと「状態異常の味方」という条件がないので万能薬が使いたいのに
全パターン状態異常のガンビットを設定しなくちゃいけないのはゴミだと思いました。

悪かったところ
前述の通りうすっっっっぺらいストーリー(これが原因でキャラに魅力がない)
クリスタルグランデとかいう手抜きなのにクソ長くてめんどいダンジョン
灯台とかいう手抜きなのにクソn(ry
モブハントをしていると毎回依頼主のところに引受&報告に行かなきゃいけないこと
昔のゲームなのでしかたがないけどマップが細切れでいちいちオートセーブ挟むから
フィールドの移動が億劫&道が覚えられない
戦闘中のカメラアングルがクソで空飛んでる敵が見きれてる
ひどいときはHPバーが見えない
戦闘中に操作がほとんど必要ないからボーッと眺めているだけで終わること
(特にラスボス戦)
リマスター版ではラスボスが強化されて倒せなく、無駄にモブハントやらされたこと
連戦終わって最後の最後にラスボス倒せなくてわざわざモブハント数時間やってからまた
連戦やらされるのテンポくそ悪いぞ
ライセンスシステムでアンロックしただけじゃ装備や魔法が使えないこと
(装備や魔法を買ったり見つけたりしなきゃいけないのがめんどいしこのおかげで楽しさが増えていることはないただの手間が増えるだけのクソシステム)

セールしていたので2640円で買いました
フルプライス(5280円)で買っていたら後悔していたと思います
2000円以下なら買いですが同じ値段帯のSkyrim買った方がずっと楽しめます