1トウループと2トウループは違う技

シングルトウループが完璧に跳べたらダブルトウループも跳べるようになる、というような簡単な話ではなく、シングルトウループダブルトウループでは回転数以外にも様々な動きが違う。

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空中にいる時間は適当に測ったところだいたい0.65秒であることから、 1コマあたりだいたい0.04秒経過することになる。 この図からわかるダブルトウループに関する注意点をいくつか挙げる。

①膝は出さない
空中にいる時間のうち最初の1回転に使う時間は1/4に過ぎない。というのも踏切の時点ですでに回転が始まっているので最初の1回転目は空中に跳んだ地点ですでに1/4回転はしてる。上図2番で右膝をほとんど前に出していないことに注意。右膝を出して折りたたむのを上図2番と3番の間にやるのは人間には不可能。この間わずか0.04秒で膝を出して戻すのは膝が痙攣して振動してたとしても無理である。つまり右膝を前に出してはいけない。

②1回転は上昇中に終わる
最も高い位置が上図の7番8番あたりなので、見ればわかるがそこまでにだいたい1回転半してる。1回転するのは4-5番間までなのでだいたい最初の0.2秒くらいまでに終えて無くてはいけない。 リアルタイムで考えると跳び上がった瞬間1回転してるくらいのタイミングである。この1回転目を行うスケジューリングがダブルトウが跳べない人の問題である。
対策としては、シングルトウで回転するべきタイミングを矯正するのが一番かと思われる。 シングルトウが跳べるけどダブルトウが跳べない人は、多くの場合、空中で回転するスケジュールを空中にいる間均等に割り振っている。つまり、踏切から一番高い位置までに半回転し、そこから着氷までの残り時間でもう半回転し、着氷と同時に合計1回転、というスケジュールの立て方。これは間違い。そもそもフィギュアスケートにおけるジャンプ中の回転は、回転速度が一定ではない。シングルトウループにおいてもアマチュアの選手は、一番高い位置ですでに3/4回転をしていて、残りの着氷までの時間、つまり空中にいる時間の後半の時間をめいいっぱいつかって残りの1/4回転をしながら氷に向かって落ちていく。
以下、参考図

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③滞空時間中、回転に使うのは2/3くらい
上図10-11番あたりでもう体を止めているので、ダブルトウループに必要な2回転は滞空時間の2/3時点で 終了している。前述したように空中の回転速度は一定ではないし、滞空時間いっぱいを使って2回転する わけではない(してはいけない)。そもそも、1回転目のタイミングを間違えなければ、多分体を開かないだけで2回転するはず。

④シングルトウと何が違うか
参考図として載せたシングルトウの図と見比べて、シングルトウとダブルトウの差を考える。すぐわかるのは、膝を前に出している点。膝をあげるとあたりまえだが右足に左足を巻き付けられない。膝を前に出すことによって巻き付けないようにしているとも考えられる。
巻き付いたら回転してしまって、1回転で降りてくることができない。
もうひとつは、左脚の角度である。上図(ダブルトウ)の4番あたりまで、つまり1回転目の間、 左脚は体の軸と平行である。そこから2回転目で右脚に巻き付いていく。一方でシングルトウの場合は 軸と左脚が平行ではなく、おいて行かれている。

つまりシングルトウとダブルトウは単に回転数が違うのではなく、そもそも違う技なのである!!