「~な感じですか?」って日本語おもしろく感じる感じですか?

最近よく聞く「~な感じですか?」っていう日本語がおもしろい。
「アナルに入れるんですか?」じゃなくて「アナルに入れる感じですか?」と言う。
当初この用法はおそらく、
「他の可能性も考えられるのですが、主にこういうことでしょうか?」
ということを言いたいんだろうなと自分は勝手に思っていた。
「アナル以外の場所にも入れるかもしれないのでしょうが、主にアナルに入れる用途で使うのですか?」という
譲歩のような揺らぎがあると無駄に考えていた。
しかしそこまで考えていた私は馬鹿だったのだ。
思い出してほしい。
国民のふたりにひとりは、学力の偏差値は50以下(あたりまえ)。
この国のふたりに一人はIQ100以下(あたりまえ)。
けっこう馬鹿なのだ。
地元の偏差値50以下の高校ってやばかっただろ?

もともとこういう表現は昔からあったものである。
おじさんおばさん世代なら、
「~みたいなぁ?」「~的なぁ?」という口調を
アホな女子高生が昔よく言っていたことは記憶にあると思う。
それが陳腐化して、今は「~するかんじ」がとって変わったのだ。
「~するかんじ」はナウい(死語)のだ。

そしてこれは日本人だけに見られる言葉ではない。
アメリカでも「like」を多用する似たような層がいる。
とりあえず It's like... から発言を始める的な?
It's like a common thing,
like you're saying "like blahblahblah" all the time, y'know ?
この層は「you know」も多用する。
奇しくも日本語で you know は「有能」である。
自分の無能さを自覚しながら相手を「有能」と連呼し、
他者を褒め称える姿勢は見習う物がある感じじゃないですか?

こういう言葉使ってる人は頭があまりよくない感じじゃないですか?
と思ったあなたの直感は正しく、
ちょっとgoogleで検索してみると
How to stop saying like and sound smarter
(like「~みたいな」を使うのをやめて、頭がよさそうに話すにはどうしたらいいか)という記事まで見つかる。
https://www.onlinecollege.org/how-to-stop-saying-like-and-sound-smarter/
「~的な」「~する感じ」はおそらく世界共通で、同じような層が多様すると考えられる。
(ロシア語では「типа」、フランス語では「genre」という同様な単語がある。)

というのも、語彙をできるだけ減らし、指示語を多用してしまうのは認知能力の低さが原因にある。
適切な表現や単語が見つけられない。思い出せない。知らない。考えるのさえ疲れる(=面倒に感じる)。
実際に中高年となった母親や父親に「ほらね、あそこにあれあるでしょあれ。あれをやっといてくれない?あれ。」などという
伝わる情報量ゼロな話をされた経験がある人も少なくないはず。
こういった特徴はアルツハイマーによって認知能力が下がっても起こる。
(柴田大作ほか 2016年 "Pronoun Increases in Alzheimer's Disease")

言葉の誤用というものはめずらしいものではない。
「おられる」という「いらっしゃる」の誤り、
「なかなかどうして」を「理由はわからんけどどういうわけか」という意味で使ってしまったり、
「お飲み物は食後でよかったですか?」という唐突に明かされる時空の歪み。
でもこれは自然なことなんですよ。
国民の半分は偏差値50以下の学力ってことを考えれば、
国語の成績だって糞だったんだろうなってことはすぐ理解できるし、
twitterを見てても相手の言ってることを毛ほども理解できてない人ってのはたくさんいる。

「~する感じですか?」という言葉に何らかの合理的な背景があると勝手に思った自分もまた、
人類に期待しすぎてる感じじゃないですか?
そのうち絶望して隕石を地球に落とす的な感じです。

参考
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=13&block_id=8&item_id=171811&item_no=1