少しずつ始めるということ

「いつか~したい」「いつか~してみたい」そういう台詞、若いうちはいっぱい聞きますよね。でも意外に中年の人も言いますよ。夢を語るのは無料ですからね。必要なのは黙ってうんうん聞いてくれる仏のような友達だけです。そしてこういう「いつか~したい」系の台詞を吐く人はだいたいいつまでも~することなく死にゆくことが多いですね。

いつか英語が話せるようになりたいとか、外国に住みたいとか、こういう職につきたいとか。
そういう言葉をついつい口にしてしまう人に、ルルーシュの一言を聞かせたいです。

誰かが自分の代わりにやってくれる。待っていればいつかはチャンスが来る。
甘えるな!自らが動かないかぎりそんないつかは絶対に来ない!

この言葉は至極正論なのですが、やれ!と言っても人には状況や環境によっては完遂が不可能なことが多々あります。それはあたりまえですが、私が個人的に思うのが、多くの人が「100%準備万端になったら、ある日突然完遂しよう!」という謎の義務感に囚われていることです。そんなんじゃ夢を叶えるのは難しいですよ。だいたい「いつか」という単語を使う場合だいたいその人がそれを実現する可能性はほぼゼロです。マジでやる人は「来月」とか「今やってるこれが終わったら」とか「夏休み」とかもっと具体的な時間を指定しますからね。しかしそれは今回の内容とは話が逸れてしまうので放置しておきます。

前提として、人はある日突然、シュバ!!!!!っと理想の自分に変身するわけではありません。姿形や性質が短時間で大きく変わるのは、幼虫が蛹になったり、蛹が成虫になったりする、いわゆる完全変態の虫だけです。あ、ポケモンもそうですが、多くのポケモンが蛹にならずに成体になるのでポケモンは不完全変態の動物です。ポケモンの世界では進化だと言っていますが進化ではありません。一世代で成長に合わせて体の形が変わるのは変態です。親御さんがびっくりするからといった理由で糞みたいな映像クオリティでゲームを作ってますが、言葉を間違って子供に覚えさせてることに親御さんはびっくりしているのではないでしょうか。なんとご丁寧に英語版のポケモンでもevolve(進化する)を使います。全世界で間違った知識を子供に植え付けようとする悪質なゲームです。変態(metamorphosis)を使えよ。

スーパー戦隊の変身は変身ではなく着替えです。タキシード仮面に至っては肉体の能力向上は全く見受けられません。ただの着替えです。強いて言うとすればバラの花をコンクリートに投げて突き刺せる能力が備わります。しかしタキシード仮面という割に着てるのは燕尾服だし、仮面じゃなくて眼鏡です。

話が逸れました。
長々と話してしまいましたが、私がここまでで言いたかったことは、人間は変態動物ではないということです。ある日理想の自分に変態しない。そしてする必要もないんです。

勝手に縛りプレイしているところに茶々入れて申し訳ないんですが、もしなにか理想の自分に近づきたいと本当に思っているのであれば、まずその10%くらいのところから始めるといいと思います。例えば、イギリスに住みたいと思っているけどお金も時間もないなら、とりあえず数日イギリスに旅行してみるとか、動物愛護施設を作りたいけど金がないなら、愛護施設に1000円寄付するとかね。仕事をやめて独立したいと思っているなら、土日だけやってみるとか。そうやって少しずつやってみて、後々で経済的・時間的に余裕が出てきたらさらに10%を20%にして……といったように続けていれば、少しずつ理想の自分に近づけると思います。

でかく始めてでかいチャレンジして、結果が大成功か爆死か、といった二元論で考えるとうまくいかないですし、まずチャレンジするところまでたどり着けないことのほうが多いと思います。小さく始めることはいけないことではないのになぜかそれは禁じ手みたいに無意識に考えてる人が多いんですよね。人生ってのは白いものが突然黒くなるのではなくて、グラデーションみたいに変わっていくものなんですよ、何事もね。もちろんその中にブレイクスルーはありますけど、全てがうまくいくかダメかではないです。

以上、人生がうまくいってない男の戯れ言でした。