星の開拓者

人類が宇宙に進出するようになってしばらくした未来の話。
タバスコマンの宇宙船はタバスコマンとクルー5人を乗せて辺境の惑星の仮設港に着陸した。
この惑星は開発が始まったばかりで、入植者はいない。
この時代には一般人が入植する前に、その星を人が住める環境にする「開拓者」という職業があった。こういった開拓が始まった星には、星の管理を担当している企業が「開拓者」向けに様々な仕事を用意していて、開拓者たちは自分の好きな仕事を選ぶことができた。例えば、生態系の調査をする仕事や、居住地を作るための単なる森林の伐採、あるいは危険な原住生物の排除といった具合に、簡単かつ報酬が安い仕事もあれば危険で儲かる仕事もあった。
ターミナルには星を管理している企業のレセプションがあり、タバスコマンたちも開拓者として、そこに掲示されている仕事を眺めてどれがいいか話し合っていた。
仮説港のすぐそばには開拓者向けのホテルや道具屋、レストランなどがある小さく簡素な街ができていて、開拓者たちはそこで仕事の合間合間を過ごしている。
恒星から離れたこの星はいつも薄暗く、大部分が砂漠であり、砂嵐がそこら中で起きていた。開発も始まったばかりでまだどんな生物が住んでいるかもよくわかっていない。
タバスコマンの一団には3人ほど女がいたので、あまり危険な仕事は請け負いたくないなぁと思い、森の木を伐採して木材をその場に置いておく簡単なお仕事でいいか、とたいして考えず選んだのだが、開拓が始まったばかりで危険が未知数だったため、報酬は思ったより高く設定されてあった。
タクシーを捕まえて仕事のポイントまで移動する。
街から一歩出ると光がほとんど無く砂が風で巻き上げられて視界も悪かった。「これ以上は危険なエリアだからタクシーである自分は行けないネ」と運転手が告げ、金を受け取って去って行った。タバスコマンたちは徒歩で数時間、仕事の場所まで移動した。しこしこと木を伐採する一団。まんさんたちはちんこたちが切った木をさらに小さく切って木材として、でかいカゴみたいな物を置いてそこに重ねていった。
夜になって完全に視界がなくなりはじめ、一行はテントを開き、寝る準備を始め、タバスコマンはいらない枝を燃やしてたき火を始めた。火が消えると真っ暗になって面倒なので、みんなが寝ている間、たいして眠くもなかったタバスコマンは枝をプチプチして火にくべていた。
そんな暗闇の中、タバスコマンは何かの気配を感じた。砂嵐で周りはほとんど見えないが、10mくらいの大きな生き物のようなものの影が見えたような気がした。タバスコマンは火を消した。砂嵐で何も見えない中、ただ単に自分が疑心暗鬼になっているのかもしれないとタバスコマンは思ったが、同時に開発がはじまったばかりのこの星にはまだどんな危険な生物が住んでいるかわからず、安心もできなかった。とりあえずもし「それ」が本当に近くにいたとして、自分たちにはそういった生物から身を守るための装備もまともになく、まんさんが3人いるこの面子で、タバスコマンにできたのは火を消してじっと動かず、ただ気づかれないようにすることだけだった。この砂嵐なら、火を消してしまえば視認はできないし、風がビュービューなっている中なら音も聞こえないはず。もっとも、この星の環境に適応した生物なら目や耳ではなく、ヘビのように温度を感じ取る感覚器官が発達していてもおかしくないが、その場合はもはや万事休す…ふとタバスコマンはテントの中に目をやると、みんながすやすやと寝ていた。タバスコマンはそんな仲間の寝顔をみて、わずかにほほえむと、火の消えたたき火から上がるわずかな煙を見つめて息を殺していた。
その後は何も起きず、タバスコマンは朝まで見張りとして念のため起きていたが、朝になって砂嵐も弱まったところで、仕事をちゃちゃっと終え、日が暮れる前に街へ戻った。
日暮れ前にすでに疲れていたタバスコマンはさっさとホテルに入り、ベッドの上で横になった。開発が始まったばかりの星は仕事に対する給料がよくてお得だなぁと当初は思ったものの、心労がたまったので他の開発中の星へ移動しようかななんて考えた。暗いし砂嵐ずっと吹いてて気が滅入るし。朝になったらみんなに相談するか。

っていう夢を今朝みた。
時々ドラマチックな夢を見るので、おもしろい夢を見たときはメモっておこうと思いました。